見ているものを知るための知識
2019.11.21
“デザイン”を見る時、なにを見ているかということについて少し考えました。自分が見ているものがどういうものなのか、それを知るのは面白いな、みたいな話です。
デザインを考える時、よくPinterestやギャラリーサイトでリファレンスを探すのですが、他の人に見せたときに、自分が見てたポイントじゃないところを気にかけられることってよくあります。
色、イラスト・写真などのモチーフ(描かれて/写っているもの)、賑やかさ、みたいなポイントへのつっこみが多いとよく思います。「わかってないなー」という話ではなく、 「見えているもの」は同じなのに「見ているもの」が違う のは面白いな、という話です。
個人的には、上記のポイントは調整可能なものとして捉えることが多いです。リクエストに合わせて変えればいいかな、くらいに思っています。(関係ないけど極端に賑やかにするのは苦手です)
……ここで「エスキモー※は雪をあらわす52の呼び名をもっていた」みたいな話あったよなと思い出し、 ものの名前や現象、仕組みを知っていることで自分が見るものの解像度って変えることができるよね、それが面白いなと思うんすわ 的な話にしようと思ったんだけど、調べたらこれ別に本当に呼び分けてたわけじゃないみたいです。なにを信じたら良いのかわからん。調べるって大事ね。
エスキモーの雪の名前は何種類?【隙間リサーチ】 | ちりつもFILE (β
※ちなみに現在はエスキモーではなくイヌイットと表現するのが良いようです。
覚えていて検索したのがこの単語だったのでそう書いています。
↑この記事の最後の方の、
日本語では「雪」以外に「雪を指す言葉」はありませんが、「空から降ってくる水」を、その状態に応じて「雨」「霙」「雪」「雹」「霰」と呼び分けています。雪だけしか降らない地域や、雨だけしか降らない地域では、おそらくこのような複数の語幹での呼び分けは定着しないでしょう。
ここの部分はたしかにー!と思いました。日本語にも細かい呼び分けありましたね。
知っていればそれらを見分けることができ、知らなければそれらは同じものに見えるということは、 「見ている解像度が変わっている」 ってことなのかなと思います。
無理やり話を戻しますが、僕がデザインを見るときはまず始めに情報構造とスタイリングとコンテンツに分解します。
- 情報構造 : 装飾的な要素を排除した文脈や文章構造
- スタイリング : 余白、色、文字、図など見た目を装飾する部分
- コンテンツ : 中身、モチーフ。なにを見せているものなのか
コンテンツに適した情報構造なのか、情報構造に適したスタイリングなのか、みたいな分解をします。
装飾的な部分を見つけ出すことは見た目通りですが、情報構造はすこし慣れや知識が必要なのかもしれません。そのデザインをワイヤーフレームに戻したらどうなるか、とか、マークダウンで書いたらどうなるか、みたいに考えて見ていることが多いです。
これも大本の出典※がどれか見つからないのですが、 「ユーザー・エクスペリエンスのダイアグラム」 のような構造を分解して解説してくれている先人の知恵を拝借すると、より理解が進みます。
第1回 ユーザー・エクスペリエンスって何だ? | 日経 xTECH(クロステック)
※ この「UX を構成する 5 つの段階を振り返る | UX TIMES」によると、『ウェブ戦略としての「ユーザーエクスペリエンス」』という著書に書かれているみたいです。ごめんなさい買って確かめてはないです。
ものを見た瞬間の、自分の感覚を信じることは大事だと思います。
同時に、なにを見てしまっているのかを疑い、さまざまな知識で解像度を補強していくことも大事かなと思います。
ウェブコンテンツをデザインするのは、「機能と情緒」「知識と感覚」みたいな相反しそうに見えるものが同居しているのが難しく、面白いところだと思います。