OpenAPIのスキーマを分割・構造化していく方法
2019.12.22
ファイルが大きくなりがちなOpenAPIのスキーマの定義ファイルを分割・構造化して運用していく方法について書きました。
前の記事でOpenAPIのスキーマを中心に開発を進める方針についてに書きました。
OpenAPIやSwaggerのファイルを記述していくとよくあるつらい点は、内容に対してファイルが肥大化しやすいことだと思います。(エンドポイントはそんなにないのに数百行とか😇)
上記のファイルが大きくなるというつらみは結構深刻な問題だと考えているので、 $ref を使ってファイルを分割しつつスキーマを書いていく方針にしようかと思っています。
ただ、現状OpenAPIと連携できるツールでもファイルの参照を解釈できるものがあまりなさそうなので結局1つのファイルにしておくと使いやすいかなとも考えています。
ということで、ファイルを分割してスキーマを管理しつつ最終的に1つのスキーマとして結合する方法を試してみました。
ファイルを分割してスキーマを管理する
まずファイルを分割してスキーマを管理する方法について、例となるスキーマを作ってリポジトリにまとめてみたのでこれを参考に紹介していきます。
起点となるのは root.yml 、それ以外のファイルはOpenAPI Objectのネームスペースに従ってディレクトリをわけ各ファイルからは相対パスで情報を参照しています。
root.yml からはパス毎に定義したファイルを参照していきます。/users
に関する定義であれば ./paths/users.yml 、/users/{user_id}
に関する定義であれば ./paths/users-by-id.yml に記述していきます。
# root.yml
paths:
/users:
$ref: ./paths/users.yml
/users/{user_id}:
$ref: ./paths/users-by-id.yml
パス以下はメソッド毎のパラメータやレスポンスについて記述されています。
# paths/users.yml
get:
operationId: usersGet
summary: get user list
tags: [user]
parameters:
- $ref: ../components/parameters/page.yml
- $ref: ../components/parameters/per_page.yml
responses:
200:
description: ok
content:
application/json:
schema:
$ref: ../components/schemas/user_list.yml
post:
operationId: usersPost
summary: create new user
tags: [user]
requestBody:
description: user information
required: true
content:
application/json:
schema:
$ref: ../components/schemas/user_input.yml
responses:
201:
description: created
content:
application/json:
schema:
$ref: ../components/schemas/user.yml
共通して使用するようなパラメータは components/parameters 以下で定義したファイルを参照し、リクエストボディやレスポンスで返すオブジェクトの情報は components/schemas 以下で定義したファイルを参照します。
このようにファイルが分割されていることで、スキーマを更新したい時に何処を追記または修正すればいいのかがわかりやすくなります。
スキーマを結合する
ここまで紹介したような方法であればスキーマは管理しやすくなりますが、最終的にはスキーマが1つのファイルになっていたほうがありがたいと思います。
そこでスキーマを結合するために openapi-generator を使います。
openapi-generator はスキーマをベースにしたクライアント向けのコードなどを生成できるのですが、コマンドで利用可能なgeneratorの種類を見てみると openapi
と openapi-yaml
というのがあります。(READMEには書いてない?)
DOCUMENTATION generators:
- cwiki
- dynamic-html
- html
- html2
- openapi
- openapi-yaml
このgeneratorをつかうことで root.yml
をベースにファイルの参照を展開した状態のスキーマをJSONまたはYAMLで生成することができます。
# JSON形式で結合したスキーマを出力
$ openapi-generator generate -g openapi -i root.yml -o generated
# YAML形式で結合したスキーマを出力
$ openapi-generator generate -g openapi-yaml -i root.yml -o generated
これでスキーマの管理は分割したファイルで行いつつ、最終的に1つのスキーマとして出力することができるようになりました。
自分が見た限りではファイルの参照が正しく展開されているようです。
余談
OpenAPIToolsは公式ではない?
openapi-generator を公式のツールという感じで紹介している記事もあるのですが、
GitHubのorganizationを見てみると以下のように書いてあります。
NOTE: This organization is not affiliated with OpenAPI Initiative (OAI)
これをみると公式ではなさそうですが、開発は活発に行われているようですし同様のツールの中では比較的よく使われているようなのでとりあえずはこれを使っていこうかと思っています。
ファイルを分割するとスキーマを書くのがつらい?
Swagger Editorや各種エディタのプラグインを使うとスキーマを編集しながら検証してくれたり、キーを補完してくれるので編集するのが簡単になります。
しかし、ファイルを分割してしまうとそのファイル単独ではOpenAPIのスキーマとして成立しないのである程度スキーマの書き方がわかっていないと大変かもしれません。
openapi-generator で結合する段階では明らかに間違ったスキーマはわかりますが、それまでわからないのもつらいかなと思いました。
今はスキーマの変更のたびにgeneratorを実行しているので、スキーマの変更を検出してプレビューしながら編集できるようになるといいかもしれません。
- 追記
分割したスキーマのファイルを検知して openapi-generator を実行するために chokidar を使ってみました。
以下のように watch
というnpm scriptを実行するとスキーマ定義のYAMLファイルの変更を検知して結合したスキーマを生成してくれます。 openapi-generator, npm-run-all など必要なパッケージをインストールしてください。
{
"scripts": {
"validate-generated-schema": "openapi-generator validate -i generated/openapi/openapi.yaml",
"run-generator": "openapi-generator generate -g openapi-yaml -i root.yml -o generated",
"generate": "npm-run-all -s run-generator validate-generated-schema",
"watch": "chokidar 'root.yml' '**/*.yml' -c 'yarn generate'"
}
}
また、1つのファイルでスキーマを編集していく場合はStoplight Studioを使っていくのも良さそうです。