制作したデザインに「ここはこうしてほしいな」とか「なんかもうちょっと目立たせたいんですよねー」とか、そういうフィードバックを反映しながら仕事を進めます。初稿がそのまま世に出るなんてことはまずありません。

自分の案に根拠や自信があればあるほど、人の意見は聞きづらくなるものです。
そういった時、どのようなコミュニケーションが必要なのでしょうか。


心の余裕をつくる

大きな手直しを発生させないやり方にはコツがあり、それはさまざまな場所で紹介されています。

  • なるべく早く8割まで完成させる
  • 途中で共有してずれていないか確認する
  • 事前に相手の要望を丁寧にヒアリングする

大抵はこんなところです。たしかにどれも大切なことですが、上記のようにやったとしても絶対に修正は発生します。仕事の進め方によっては細かな連絡がとれない状況もあるかもしれません。

あと、挙げられている内容はすべて相手依存の方法です。見た目が出来上がらないと判断できないことも多く、あとからイメージを伝えられることもあります。

そんなときに必要な心構えは、修正を前提とした 心の余裕 です。
そんなものあれば苦労ないわ、とか、性格によるでしょ、と感じる方もいるとは思いますが、余裕を作るにはいくつかコツがあると思っています。


1つの場所に時間をかけすぎない

まずは初稿に細かいこだわりを入れすぎないことです。
「なるべく早く8割まで完成させる」に近いですが、ディティールを詰めるのは最後にする、という順序立てを行ってデザインをしていくことが大事です。

作業者はずっとその画面を見続けていますが、顧客は確認を行う際に初めて見ることになります。
大きな方針 → 全体のレイアウトや導線 → 細かなディティールと順を追って相手に伝えます。

顧客はデザインを見たときの印象を肌で感じています。その印象を変えるとすれば大きな方針がまず違っていないか、というところから確かめる必要があります。

ぶれないポイントを押さえる

デザインを依頼する立場からすると「こうしてほしい」という要望はポイントごとにあるものの、見た目全てに指示を出すことはできません。それができるのであれば自分でデザインできてしまいます。
依頼の中には、押さえてほしいポイントと、デザイナーの解釈で作って欲しい部分とが共存している状態です。

この“押さえてほしいポイント”を理解できるかどうかが、ヒアリングでの重要なポイントです。
つくったデザインの根拠を説明する際にもどのようにデザインに落とし込んだか、という解釈を説明することができれば話がスムーズに進みます。

採用するか否か、という話にしない

デザイン確認をする時、つくった人間はどうしても自分の成果発表の場のようなプレッシャーを感じてしまいます。しかし、発表の場は別にあります。それはローンチするときです。

デザインを発表し、「どうでしょう?」というようなやりとりの方法はお互いにフィードバックしにくくなってしまうのでやめましょう。
ポイントごとに意図を説明し、ずれていないか、より良くするにはどうすればよいかの検討を同じ方向をむいて行うことが大切です。

意匠すべてを事細かに説明する必要はなく、依頼をどのように受け取って解釈し、それをどのようにデザインにしたか、ということを伝えることが必要です。

顧客の所有物をつくる

受託の案件の話になりますが、制作物はすべて顧客の所有物であることを忘れないようにしています。
デザインとしてこうあるべき、きれいに整っているべき、という考え方はもちろん大切ですが、顧客が制作物を使ってはじめて意味が出てきます。

1度納品したデータの扱いなども気をつけています。たとえ良くなるための改修であっても、頼まれた部分以外を勝手に手を入れたりすることはありません。

なぜこのデザイン(機能)が必要なんだろう、という1つ上の視座から見ることができると、自分のデザインも客観的に見ることができるようになり、結果的に心の余裕ができる(はず)です。


修正依頼が山積すると嫌になることも多いですが、それをなんのために行いどのような効果を出すか、ということが自分にかかっていると考えれば、相手から受け取る指摘も主体的に考えることができます。

視点を入れ替え、常にさまざまなものの見方をすることが大切なのかなと思います。