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ECの構築方法、おすすめのECサービス。

ファッションや家電、スーパーの買い物でさえもECサイトを利用することが当たり前になりました。加えて新型コロナウイルスの影響もあり、弊社にも「どんなプラットフォームを利用したら良いか」「どれくらいコストがかかるのか」などECに関するさまざまなご相談を頂きます。

この記事では、ECの構築方法をECサービスの種類ごとにご紹介します。「ECサービス」というのは、カートや商品登録などの管理機能を提供してくれる、ECサイトを作るためのサービス、という意味です。これだけ知っていれば大丈夫!というわけにはいきませんが、構築のご相談の際の参考にしてもらえればスムーズに検討が進むはずです。

どんな種類のECがあるか、特徴を比較。

今回は「ECサイト」をメインにご紹介します。
ECサイトを自分で構築する以外にも、商品を販売する方法はあります。既存の販売プラットフォーム(ECモール)に商品を登録することで販売することも可能です。この記事では、自分で管理する「ECサイト」と、出品する形式の「ECモール」を区別して書いていきます。

  • ECモール(amazon、楽天市場、Paypayモールなど)
  • ECサイト
    • 1 Saas(ASP)デザインテンプレ利用型(BASE、STORESなど)
    • 2 Saas(ASP)機能拡張にも重きを置いたバランス型(Shopifyなど)
    • 3 Saas(ASP)サポートの充実した伴走型(メルマート、ecforceなど)
    • 4 オープンソース型(EC-CUBEなど)

ECモールは出品するだけ。

ECモールというのは、1つの大きなプラットフォームにたくさんのショップが出店しているような形式のECです。Amazon、楽天市場、PayPayモールなど、大きなサービスが数多くあります。ここではあえてECサイトとは別にしています。

ECモールのメリットは、プラットフォーム上に自分のショップを作ることができること、モール自体に集客力があることなどがあげられます。デメリットは、プラットフォーム上の競争に勝たなければならないこと、デザインなどのカスタマイズ性が低い傾向にあることなどがあげられます。

メリット:プラットフォーム上に自分のショップを作ることができること、モール自体に集客力があること、など

デメリット:プラットフォーム上の競争に勝たなければならないこと、デザインなどのカスタマイズ性が低い傾向にあること、など

このタイプのEC:Amazon、楽天市場、PayPayモール

簡単に登録でき、好みに合わせてテンプレートを選べる。 ECサイト : SaaS(ASP)デザインテンプレ利用型

※SaaS、ASPの言葉の使い方についてはコラムを見てください。この記事ではSaaSに統一して呼称します。
SaaS(ASP)デザインテンプレ利用型は、最も簡単に導入できるタイプのECサイトの構築方法です。多くの場合、登録するだけで商品の出品を始めることができます。BASE、STORESなどのサービスがあります。

ほとんどのサービスではデザインテンプレートを選択することができ、ユニットの入れ替えや追加などのカスタマイズも行うことができます。ただ、文字サイズや細かなレイアウト修正には、HTML・CSSの知識が必要となることもあるので注意が必要です。

また、初期費用・維持費がかからないプランがあることが多く、気軽に始めることができる一方で、決済手数料を取られるケースが多いです。

メリット:簡単に登録して始められる、豊富なデザインテンプレートから選択することができる、初期費用・維持費がかからないプランがあることが多い、など

デメリット:細かなデザイン変更には応えられないケースがある、決済手数料を取られるケースが多いため売上が高いと費用負担が増える、など

このタイプのEC:BASE、STORES

単純なECだけじゃない! ECサイト : SaaS(ASP)機能拡張にも重きを置いたバランス型

バランス型は、デザインテンプレートを利用することでECサイトを構築することができ、かつ機能拡張も充実しています。このタイプに入ってくるのはShopifyです。

デザインを選択するだけでも利用可能なので、大まかな機能はデザインテンプレ利用型と似ています。Shopifyは決済部分をAPIとして利用することができ、それを利用することで大きな機能拡張を行うことができます。

だた、Shopifyは月額の有料プランの利用が前提となっているため、維持費がかかります。構築に知識がないと機能拡張が難しいことなどもデメリットとして挙げられます。

機能拡張の例

機能拡張の例としては、CMSと連携して商品リンク(在庫状況付き)を表示する紹介ブログを構築したり、ログイン機能を付けておすすめの商品を選ぶ診断機能を付けたりするなどがあります。

APIを提供しているECサイトであれば、どのサービスでも上記は構築可能ですが、その中でもShopifyは利用しやすく、ユーザー数が伸びているサービスです。デザインの面でも、1から構築することができれば細部にまでこだわることができます。

メリット:決済機能をAPIとして利用することができるため機能拡張がしやすい、細部までこだわったデザインにEC機能を付けることができる、など

デメリット:月額の維持費がかかるプランもある、構築の知識がないと機能拡張は難しい、など

このタイプのEC:Shopify


Shopifyの導入事例

弊社では「Julie」というワインのECをShopifyを利用して構築しています。ECサイトとしてワインを購入できるだけではなく、ユーザーの味覚の好みに合わせてワインをレコメンドするサービスです。商品管理や決済にShopifyを利用しています。このような追加機能の開発※がある際に利用しやすいサービスとなっています。
※ログイン、診断部分などは別途開発が必要です。
Julie - ジュリー|世界中のワインからあなただけの1本を

運用まで一緒に進めたい。 ECサイト : SaaS(ASP)サポートの充実した伴走型

伴走型のECサイト構築方法は、ECサイトの提供事業者と協力して構築できる体制が整っているECサイト(運営会社)です。ECサイトは初期の構築だけではなく、その後の運用改善を続けていく中でどのような情報をユーザーに届け、購入に繋げるかというノウハウも非常に重要で、規模の大きな企業になると「購買情報を既存の分析ツールに入れたい」というような要件も出てきます。

そのような要件や要望を相談でき、伴走型でECサイトの運営ができるという点が最大のメリットです。ただ、さまざまな要望を相談することができる反面、構築の費用や維持費は高くなりがちです。

メリット:運用ノウハウがある、改善の相談ができる、細かな機能拡張の相談ができる、など

デメリット:初期構築の費用や維持費が高くなりがち、など

このタイプのEC:メルマート、ecforce

しっかりカスタマイズしてオリジナルのECを構築したい。 ECサイト : オープンソース型

ここまでのECサイトはSaaS、つまりあらかじめ用意されたECサイト構築サービスを利用してECサイトを構築するものでした。それに対してオープンソース型は、自由にカスタマイズしてECサイトを構築するタイプです。

「オープンソース」とは、無償でソースコードを公開しているソフトウェアのことを言います。無料でダウンロードでき、ソースコードを自由にカスタマイズすることができます。

今回紹介しているSaaSのECサービスは、大きい規模のサービスなので滅多に起こりませんが、利用しているECサービスが終了してしまうとECサイト自体を閉鎖しなくてはなりません。かといってすべてを独自構築するのは莫大な費用がかかります。そこでオープンソースとして公開されているソフトウェアを使う、という選択肢が出てきます。

ただし、サーバーなどのインフラを自社で用意する必要が出てきたりなど、ある程度の知識が必要となります。

メリット:オリジナルなECサイトを構築できる、サービスの終了などに左右されない、など

デメリット:インフラなど構築に知識が必要となる場合がある、など

このタイプのEC:EC-CUBE

ASP、SaaSとは

ECサイトの公式ウェブサイトを見ていると、「ASP」という言葉が多く出てきます。ASPというのは「Application Service Provider」の頭文字をとったもので「サービス提供事業者」というような広い意味の言葉です。そのため、特に ASPはこういうものだという特徴はありません。

ASP = BASEのようなデザインテンプレ型のサービス、というわけではなく、ECサービスを提供しているすべての事業者を「ASP」と呼ぶことができます。

また、「SaaS」という言葉もよく目にします。これは「Software as a Service」の頭文字をとったもので、PCなどにソフトウェアをインストールしなくても、インターネット経由で利用できるようなサービスを指します。こちらも 現在ではほとんどのサービスが該当することになってしまうため、サービスの特徴を言い表す言葉としては機能していません。

「ASPなのでデメリットがある」「SaaSなのでコストが安い」などの説明はまちがってはいないのかもしれませんが、詳細な説明を割愛している分、誤解を招きやすくなっています。

ECサイトの維持にかかる費用相場

ECサイトの初期構築はこだわらなければ無料でできるところも多くあります。BASE、STORESなどはフリープランが用意されています。

ECサイトの維持には、大きく分けて4つの費用がかかります。

  • 月額費用:ECサービスの利用料
  • 決済手数料:商品の売上に対してかかる手数料
  • サーバー費用:サーバー利用に関する費用
  • その他:振り込み手数料など

BASEとShopifyを例にとると、(2022年7月時点)以下のようになっています。

  • BASEのスタンダードプラン:サービス利用料* 3%、決済手数料 3.6%+40円
  • Shopifyのベーシックプラン:月額費用 $25、決済手数料 3.4%

※BASEのサービス利用料は決済手数料の一種で、売上が出るまでかかりません。

例えば、1,000円の商品が月に100回注文が入ったとすると、売上は100,000円になります(送料などは今回は除外します。)
この場合の手数料の計算は、以下のようになります。

  • BASE:(1,000円 × 3% + (1,000円 × 3.6% + 40円))× 100回 = 10,600円
  • Shopify:(1,000円 × 100回 × 3.4%) + 25$(1$ = 135円)= 6,775円

維持費がかかるShopifyの方がこのプランの比較では安くなっています。


また、BASEは「その他」の口座への振り込み手数料などもかかってくることに注意が必要です。ただし、ある程度の打ち上げがある場合にはBASEにも手数料の低いグロースプランも用意されており、一概にBASEが高い、とは言い切れません。

注文回数などによって変わってきますが、一般的には、売上が多く注文も多いECサイトは決済手数料を重視した方が良いです。
売上が少なく、まずはECサイトを始めるところから、という場合はフリープランで決済手数料を支払う方が維持費が安くなることが多いです。


SaaSであれば検討する必要はありませんが、オープンソース型のECサイトの構築は、自社でインフラを用意する必要があるため、サーバー費用がかかってきます。サーバー費用は、どの程度の強度を求めるかや実際のアクセス数(データ転送量)に応じて大きく変わってくるため、ここでは割愛します。

ECサイト構築ガイド

ECサイトを構築するために知っておくと良いポイントをご紹介します。

事例をよく見てサービスを決める

ECサイトを構築する際は、同じ業種などのECを探して、どのようなECサイトを展開しているか調査をするのが最も大事です。事例の探し方はさまざまありますが、一番簡単なのは利用するサービスの事例を参照することです。各サービスには事例ページがあることが多く、参考にすることができます。
数を多く見るのではなく、規模や業種の似ている事例を探すことが重要です。

販売する商品の情報を整理する

どのようなECサービスを使うかよりも、商品の魅力が顧客に伝わることの方が重要です。そのためには商品の特徴を伝えるキャッチコピーや、魅力的なビジュアル、分かりやすい商品説明などの素材を整理しておきましょう。公開後は改善していくことも考え、どのような意図で訴求しているか検討できるとより良いです。

分からないことは人(サポート)に聞く

ほとんどのECサービスはサポートがとても充実しています。できること、やりにくいことを判断するためにもサポートを上手に使うことが大切です。どのようなECサイトを目指しているか伝え、ECサービスの機能がマッチしているか、しっかりと調べることが重要です。

特に、弊社はShopifyを利用したEC構築を得意としています。ECサービスの選定前のご相談からお聞きすることができますので、お気軽にご相談ください。
お問い合わせ

決済サービスを使う方法もある

ECサイトの構築に決済サービスを利用するのも1つの手です。決済サービスは上で説明したようなECサイトとは異なり、クレジット決済の仕組みのみを提供します。商品を登録したり、値段を変更するような仕組みはありません。一見不便そうですが、商品に紐付かない決済が必要な場合にはこういった決済サービスが利用しやすい場合もあります。

例えば弊社では「KUROKONO Gift」というeギフトサービスを構築しています。誕生日や結婚祝いなどお祝いしたい人へフラワーギフトを送ることができるサービスです。ギフトの代金は複数人で出すことができ、メッセージを一緒に付けることができます。この「複数人から集金し、1つのギフトを購入する」というシステムにStripeという決済サービスを利用しています。
KUROKONO Gift|クロコノギフト


ECサイトの構築には検討することが多くあり、担当者だけでは決めきれないことも多くあります。構築方法については各種サービスを上手に頼るのが近道だと思います。

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